DX事例8選に見る業種別
デジタルトランスフォーメーション推進のポイント
DX推進は、企業にとって優先的に取り組むべきものとなりました。その理由は、業務改善やビジネスの成長を実現するための手段でもあるからです。これから、ITやAI等のデジタル技術を活用して、業務効率化や新サービスの提供を考えていくことが重要ですが、「どのように取り組んでいくべきかがわからない」という経営者やマネージャー層もいらっしゃるでしょう。本記事では、DXの定義や目的、メリット・デメリットといった基本的な部分、各業種の注目すべきDX推進事例などについて解説します。
DXの重要性とその取り組み
DX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みを始めるにあたり、知っておかなければならないのは、その定義や目的など、DXの基本的な捉え方についてです。
ここでは、DXの定義や目的、メリットやデメリットなどをみていきましょう。
DXの定義とその目的
DXは「Digital Transformation」の略称で、デジタル技術を活用して業務効率向上や新たなビジネスモデルの創出、競争力の向上を目指す概念です。2004年にエリック・ストルターマン氏(スウェーデン)が提唱しました。
総務省では、「企業が顧客や市場の劇的な変化に対応し、クラウドやモビリティ、ビックデータなどのデジタル技術やデータを活用して、新しい製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。
その目的は、IT・ICTやAIなどのテクノロジーを、企業組織の運営や既存ビジネスに融合させ、新しい価値の提供や、企業競争に役立てて、生産性を向上させることです。
出典:総務省 情報通信白書 令和3年版第1部「デジタル・トランスフォーメーションの定義」
DXが企業にもたらすメリットとデメリット
DXを実現することには、メリットとデメリットの双方を意識しておく必要があります。
DXのメリットは、たとえばITツールの活用によって業務の自動化ができ、従業員の業務負担が削減することで業務効率化や生産性を向上させられる点です。また、業務自動化が浸透することで、ヒューマンエラーの減少も期待できます。生産性の向上やヒューマンエラーの減少は、コスト削減にもつながるでしょう。
一方、デメリットは、ITツールなどの導入費用やランニングコストなどのコストが掛かる点です。また、既存システムを新しいシステムへ移行する作業にも手間と工数がかかります。DX化が進んだとしても、結果が出るまでには時間がかかることもデメリットだといえるでしょう。
DXにおけるデジタライゼーションとデジタイゼーションの違いと関係性
DXと類似したもので、広義でデジタル化の意味を持つ言葉に「デジタイゼーション(Digitization)」と「デジタライゼーション(Digitalization)」があります。DXと混同してしまいがちな用語ですが、両者は以下のように定義されています。
・デジタイゼーション:紙などを使ったアナログなプロセスをデジタル形式に変換する
・デジタライゼーション:組織のビジネスモデル(業務や製造など)のプロセス全体をデジタル化する
DXは、デジタル技術を活用して新たな事業やビジネスモデルを創出する変革を目的としているため、それぞれの定義が異なるのです。
企業DXの成功事例
DX推進を進める上では、実際にDXに成功した事例をみておくことが大切です。中小企業のDXの成功事例や、業界ごとのDX事例をみていきましょう。
中小企業のDX
中小企業のDXでは、IT・ICTの技術を活用することにより、作業効率化や市場拡大に成功した例がすでに出てきています。
たとえば、計測・制御機器を製造販売する企業では、IoT技術を活用して人材不足を解消しました。また、変圧器の製造企業では、ペーパーレス化により年間約300万円のコスト削減を実現しています。
製造業のDX事例
DXの推進は、製造業でも進んでいます。ここでは、品切れの事前予測や、長期的な製品動向予測に取り組んだ事例を紹介します。
商品の品切れの傾向をつかみ事前予測、販売機会の損失を防ぐ
リリカラ株式会社様
リリカラ株式会社様は、インテリア製品の製造および卸売業を手掛けています。社内にグループウェアを導入することで、Webメールやスケジュール、ワークフローを活用しています。
また、社内に有する膨大なエクセルデータを有効活用する新たな試みでは、社内で集積した膨大なExcelデータをデータベースシステムに集約しました。これにより、商品の在庫状況、品切れ傾向を事前に予測し、販売機会の損失を防ぐようにデータベースが運用されています。エントリー画面を作成し、容易に品番ごとの品切れ予測ができることで、具体的な仕入れ計画が可能になるのです。
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異なる事業部間の営業情報を共有化し、長期的な製品動向を予測
株式会社明治ゴム化成様
工業用各種ゴム製品及び樹脂製品の開発・製造を手掛ける株式会社明治ゴム化成様は、製品施策用設備を管理することで稼働率向上を実現しました。また、報告書を集約することで、効率化と迅速な共有を可能にしています。
これまでは、Excelで共有していた営業報告書。書式も部署ごとにバラバラだったため、報告書をもとにした分析も困難でした。しかし、営業報告書を直接入力するシステムに置き換えることで、フォーマットも統一。これまでのExcelデータ(約5,000件)も全て取り込むことで、すべての営業報告書を集約しました。これにより、営業報告の共有化はもちろん、データ分析にも活用できます。たとえば、長期的な製品動向の予測やお客様フォローも可能になりました。
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建設業のDX事例
建設業界も、さまざまな業務をデジタル化して積極的にDXへの取り組みを行っている業界です。ここでは、工事進捗の一元管理で残業削減をした例を紹介します。
現場の工事進捗に関する報告・集計を一元管理、残業削減に
株式会社イワサ・アンド・エムズ様
株式会社イワサ・アンド・エムズ様は、東京スカイツリーや六本木ヒルズなどの新築塗装・内装工事から、マンションなどの大規模修繕工事まで、様々な場所での修繕・塗装を行っています。
工事の進捗や報告を行う担当者は、紙やExcelで送られてくる報告の取りまとめに遅くまで作業に追われていました。「残業をなくしたい!」という取り組みは、グループウェア導入と業務アプリの内製化というDXで実現されました。従来、数十の工事現場からの進捗報告などをExcelや紙で報告し、それをまとめるなどの作業が発生していました。しかし、これらの報告や集計を1カ所に入力できるグループウェアに移行することで、報告のチェックや集計に工数を取られることもなくなり、大幅な残業削減につながりました。また、紙での報告がなくなったことでペーパーレス化が進み、コスト削減も実現しています。
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運輸・交通業のDX事例
運輸・交通業も、DXへの取り組みは盛んです。物流のデータベース化や車両やコンテナの手配状況のリアルタイム共有といった2例を紹介します。
物流をすべてデータベース化し業務効率化を実現
マキノ・ロジスティックス株式会社様
製品の梱包や輸送・輸出手続き、半完成品や部品、組み立てや機械加工の治具を届けるなど、配送業務を担うマキノ・ロジスティックス株式会社様。一日あたりに取り扱う貨物はパレット数にして約1,000件以上にのぼり、これらの管理を紙やExcelで行うことは限界でした。
そこで、物流工程管理をすべてデータベース化して一元管理。紙やExcelの管理をすべてIT化したことで業務効率化が進みました。その後、業務量が1.5倍に増加しても、増員することなくスムーズな管理が実現できています。
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港湾輸送の車両、コンテナのドレー等の手配状況をリアルタイムに共有
愛知海運株式会社様
海運・港湾運送を中心に総合物流サービスを展開する愛知海運株式会社様。社内規定や書式類は、必要なときに必要な文書を探す手間が掛かったり、誤用が多かったりする状況でした。しかし、規定や書式類をシステムで一元管理することにより利用効率が向上しました。たとえば、港湾輸送のトラックやダンプ、コンテナのドレー等の手配に携わる関係の全部署が、リアルタイムで更新情報を共有できます。
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サービス業のDX事例
サービス業でも、DXへの取り組みが進んでいます。ここでは、店舗負担軽減の実現や、データベース導入による発注と入荷の一元管理を行った2つの例を紹介します。
独自システムで店舗負担軽減、食材ロス抑制にも貢献
株式会社ネットタワー様
株式会社ネットタワー様は、2001年に日本初のタピオカ専用工場を開業し、大手レストランやカフェチェーンにも採用、飲食事業の自社ブランドである「パールレディ」も立ち上げています。同社は、輸入進捗や支払い管理、売上日報などを管理するシステムを導入することで、店舗から本部への報告書類に関する各店舗の負担を軽減しました。
また、従来は店舗ごとに廃棄食材のグラム量を手計算していました。このプロセスを、自動計算できる独自開発システムにて管理することで、食材ロス抑制にも成功しています。
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商品データベース、発注と入荷を一元管理、DXが業務の根幹を支える
サンコー株式会社様
家電製品の企画から開発、製造、販売まで手がけるサンコー株式会社様。製品の輸入先は中国で、中国とのコミュニケーションを密に行いながら、少数多品種の商品を取り扱っています。従来は、表計算ソフトウェアで商品の発注や入荷の必要情報を管理していました。これらをデータベースに移行することで管理が効率化され、中国と日本の双方からデータにアクセスできる環境も整いました。現在では、発注と入荷を一元管理できる商品データベースの他、社内情報のデータベースを作成するなど、DXによる業務プロセスの改革が進み、業務の根幹を支えています。
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情報・通信業のDX事例
情報・通信業は、積極的にDXへの取り組みを行っている業界の一つです。ここでは、売り上げのリアルタイム可視化についての事例を紹介します。
全社売上などのリアルタイムでの可視化が生産性向上に寄与
株式会社システムアプローチ様
35年以上にわたり、ソフトウェア開発・ユースウェア支援・ハードウェア保守の3つの事業を手掛けてきた株式会社システムアプローチ様。さまざまな角度からDXに取り組んでいる中で、売り上げなどの数字の可視化も行いました。全社的な売り上げや粗利の数字を、グラフなどでリアルタイムに可視化して全社共有したことで、社員一人ひとりが数字を念頭に置いた行動ができるようになり、生産性向上につながりました。
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DX事例の実現方法と戦略
企業や自治体がDXへの取り組みを成功させている事例が多くあります。ここでは、DX事例の実現方法と戦略についてみていきましょう。
DXに取り組む企業の課題
企業がDXに取り組む際には、いくつかの課題があります。多くの企業に共通するのは、ITスキルを持つ人材の不足や経営陣のDXに対する理解不足、具体的に進まないなどという部分でしょう。課題は企業によって異なりますが、DXを成功させるためには、自社ではなぜDXが進まないのかという課題の洗い出しが必要不可欠です。
これは、DXを成功させた企業の事例がヒントになるかもしれません。たとえば、紙やExcelで管理していた業務報告や商品管理などは、グループウェアの導入で解決できます。業務ごとに独自のアプリを作成すべきといった課題があるならば、ノーコード開発が可能なグループウェアを選択することが、課題解決の第一歩となります。
データ活用の重要性と具体的な活用方法
DXの成功事例をみていると、業務に関わる内容をデータ化して、そのデータ活用を基盤にDXを推進していることがわかります。各部署がそれぞれにデータを管理している環境では、企業としてデータ活用をすることが難しいでしょう。解決するためには、すべての部署のデータを一元管理することです。
たとえば、業務日報や売上データ、顧客情報などのデータをグループウェアのプラットフォームとし一元管理することで、情報は蓄積されていきます。蓄積された情報を基に、データ解析・分析を行うことでデータを最大限活用できます。蓄積され、分析されるデータは、企業の重要な資産となるのです。
DX実現のポイント
DXを実現するためには、目的を明確に定め、DXのメリットやデメリットを把握した上で、自社に合った方法でDXを進めていく必要があります。企業によってそのポイントは異なるかもしれませんが、共通する部分も多くあります。
・DXやIT・ICTなどの知見を持った人材
・経営層のDXに対する理解と、環境変化への対応力
・業務のデジタル化に対応する従業員の柔軟性
・組織全体でDX推進をする体制
DXは、個々の現場だけで進めることはできません。企業組織全体がDXを推進するためのビジョンや体制を整える必要があります。また、経営層がDXの必要性を理解しておくことは最も重要なポイントです。
DXを実現するためには、DX成功後に起こる変革を組織全体で認識しておくことが大切です。
DXに役立つツールについてのおすすめ資料
最新ノーコード・ローコードツール徹底比較
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DXの推進におすすめのツール「AppSuite」
DXの推進に役立つツールの中でも、おすすめしたいのが「AppSuite(アップスイート)」です。
「AppSuite」は、ノーコード開発に最適なアプリ作成サービスで、クリック操作だけでアプリを作成することが可能です。そこに専門的な技術や特別なITの知識は必要ありません。
既存の台帳を管理しているExcelやCSVファイルのデータを取り込んでアプリ化実現できますので、既存のフォーマットを崩さずに、データをそのまま移行することもできます。
手間がかかる業務を「AppSuite」でアプリ化して運用すれば、大幅に効率化できます。紙やメール、Excelで行われている業務を「AppSuite」で作成した業務アプリに移行して、業務の無駄をなくしましょう。 「AppSuite」については、こちらもあわせてご覧ください。
参考:業務アプリ作成ツールAppSuiteの特長
DX推進のポイントに関するまとめ
DXを推進するためには、DXの定義や目的をしっかりと認識することが大切です。自社に類似するDXの成功事例があれば、参考にして取り入れることもDXをテンポよく進めていく手段の一つになります。具体的な戦略や取り組み、その成果を分析して、自社にどのように取り入れるか、どの部分を参考にするかを検討しましょう。
「手間がかかるな」と思ったその時に
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