業務改善報告書の書き方は
改善報告書の作成にはテンプレートがあり、会社によっては、自社で独自のフォーマットを用意しているところもあります。業務の改善点は、忙しい日々の中で、見えないところに埋もれてしまっているものもたくさんありますので、まずは業務の分析をおこないましょう。
改善報告書の目的
会社が改善報告書を社員に提出させる目的は、いくつかあります。
- ・効率化…時間や労力に無駄が生じているのであれば、それを是正する
- ・生産性向上…コストダウンやリスク回避で、会社の利益を増やす
- ・従業員満足度の向上…業務の負担を軽減したり、利益を賃金で還元する
改善には、機器やソフトを購入するなどの有償のものと、ちょっとしたアイデアを活かすほぼ無償のものがあります。前者の例としては、これまで手入力していたデータを音声認識で取り込めるようにする、上長から書類に直接捺印していたものを電子決済可能にするなどが挙げられます。後者は、廊下にセンターラインを引き対面通行にすることで衝突の危険を防止する、倉庫内の取り間違えしやすい商品の棚の色を変えるなどの事例があります。
改善が必要な点は、実際に現場で働いている従業員がいちばん気づきやすいものです。特に無償でできる改善は経費がほとんどかからないため、会社にとってはとても有益です。積極的に改善報告書を集め、費用対効果の大きいものにインセンティブを支給している会社もあるほどです。改善報告書の作成は、会社にとっても従業員にとってもプラスになるのです。
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改善報告書を書く前に
改善報告書にはテンプレートがあり、それに沿って記入すれば完成します。会社によっては、自社で独自のフォーマットを用意しているところもあります。
業務の改善点は、誰が見ても明らかなものばかりではありません。忙しい日々の中で、見えないところに埋もれてしまっているものもたくさんあります。そのような事実を浮かび上がらせるため、まずは業務の分析をおこないます。
改善報告書を作成したい業務について、業務フローを細かく確認します。その中で、現状ではどれくらいの時間とお金がかかっているのかを、誰が見ても分かるように定量化します。
現状:請求書作成 事務員が手入力 残業30時間/月 残業代4万5千円/月
改善:請求書作成 事務員+ソフト 残業10時間/月 残業代1万5千円/月
このように数字が明記してあれば、改善後との比較は一目瞭然です。上記の場合であれば、ソフトが3万円以内なら1ヶ月で改善の効果が得られることになります。あるいは、書類作成の時期が数日に集中している場合などでは、他の部署から応援を呼ぶといった対策も考えられます。
社内にはさまざまな業務がありますが、それぞれについて業務分析をおこなうことで、何にいくらコストがかかっているのかを客観的に把握することができます。その結果から問題点を発見し、改善方法を見いだして報告書に落とし込んでいきます。
改善報告書の書き方
改善報告書に盛り込むべき項目としては、次のものがあります。
- ・宛先(改善専門の部署を作っている会社もあります)
- ・タイトル
- ・業務分析の内容
- ・現状で問題がある点
- ・改善方法とそれによって見込める効果
- ・結論
- ・作成者の所属や氏名
先ほどの分析事例を使って、例文にしてみます。
202◯年◯月◯日
代表取締役社長
◯◯ ◯◯◯ 殿
「請求書作成業務に対しての改善報告書」
1.業務分析
事務業務において、月初の10日までは請求書作成でかなりの時間を費やしています。
現状ではすべて手入力で作業をおこなっており、毎月30時間程度残業が発生しています。そのコストは毎月約4万5千円です。
2.現状で問題がある点
・作業がアナログである点
・業務負担がひとりに集中している点
・他の従業員は補助できる余裕がない点
3.改善方法とそれによって見込める効果
オンラインソフトを導入することで、事務員の残業時間を月10時間程度、コストにして毎月1万5千円にまで削減することができます。ソフト利用料は月額9,800円。
よって、毎月2万円程度のコスト改善につながります。また、事務員の残業が減ることで肉体的および精神的な負担も減らすことができます。
4.結論
コスト改善のため、事務員の負担軽減のためにオンラインソフトの導入を提案いたします。
作成者:◯◯営業所
◯◯ ◯◯◯
必要に応じて、業務分析の際に作成した資料を添付するとよいでしょう。業種や職種によって改善の内容も変わりますので、例文を参考にご自身の業務に合わせて作成してみてください。
まとめ
改善報告書を提出することで、従業員にとっては経営に参加している意識づけになります。また、自身の提案が採用されることでモチベーションの向上にもつながります。日々の小さな発見でも構いません。よりよい職場環境のために、普段から改善点はないかを意識して業務にあたりましょう。
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執筆者プロフィール:
須田 美貴/特定社会保険労務士・企業カウンセラー
労働者からの労働相談、解決をメインに特定社会保険労務士として年間200件以上の労働相談を受けている。
東京理科大学卒業後、教育業界で講師業を経てリクルートで、営業職を経験。
後に社会保険労務士として独立し、2012年NPO法人労働者を守る会設立。
厚生労働省委託事業「治療と職業生活の両立支援事業」委員
独立行政法人労働者健康安全機構「治療と就労の両立支援推進会議」委員
産業能率大学講師
NPO法人労働者を守る会理事長
■ 労働相談須田事務所: https://suda-sr.com/
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