ITリテラシーとは何か?
その重要性とリテラシーを向上させる方法について解説
ITリテラシーは、現代のビジネス環境での業務遂行において欠かせないものとなりました。パソコンやスマートフォン、クラウドサービスなどのIT・ICT活用が、業務効率化や生産性向上に大きく関わるためです。ITリテラシーには、IT機器を使う能力だけではなく、ソフトウェアを扱うスキルや情報セキュリティの知識などが必要です。本記事では、ITリテラシーの定義や重要性を再確認しながら、ITリテラシー向上のメリットとその方法などについてわかりやすく解説します。
ITリテラシーの定義と重要性
ITリテラシーを高めるためには、その定義と重要性を理解する必要があります。ここでは、ITリテラシーの基本的な理解やその役割を見ていきましょう。
ITリテラシーの基本的な理解
ITリテラシーとは、「デジタル技術を活用して適切に情報を扱い、課題を解決する力」を意味する言葉です。コンピュータの基本的な操作やソフトウェアの利用はもちろん、インターネットでの情報精査やオンラインツールの利活用、データ分析能力なども含まれます。
しかし、ITリテラシーは技術的スキルだけを指すものではありません。IT・ICTを活用して得た情報を正確に理解して、適切な意思決定および応用できる能力も必要です。例えば、インターネット上の記事やSNSなどで目にした情報の信頼性を見極めて、業務に役立てるスキルが欠かせません。つまり、情報を精査して、正しい情報で問題解決を行える力が必要なのです。デジタル技術の発展に伴い、ITリテラシーはあらゆる業務で必須のスキルやモラルとして注目されています。
現代社会におけるITリテラシーの役割
ITリテラシーは、現代社会におけるビジネスにとって重要な役割を担っています。例えば、あらゆる業務情報がデータ化されたことにより、データ分析ツールの活用スキルが意思決定の迅速さを左右するようになりました。また、リモートワークをはじめネットワークを介した通常業務で活用する、オンライン会議やチャットツールでのコミュニケーションにもITリテラシーが欠かせません。
さまざまなITツールやシステムを活用するときには、情報セキュリティに関するITリテラシーも必要です。基本的なセキュリティ対策の知識はもちろん、サイバー攻撃や情報漏えいがどれほど大きなリスクであるかを認識し、未然に防ぐことを意識しなければなりません。
ITリテラシーレベルが高いと、新技術やツールの導入もスムーズに行えます。
例えば、セキュリティ強化においては、パスワード管理や多要素認証などが導入しやすくなるでしょう。従業員のITリテラシーが高いほど、安全な業務環境が構築できるのです。IT技術の導入ハードルが下がれば、業務効率や生産性の向上を促す技術を取り入れやすくなり、企業の競争優位性も維持しやすくなります。現代社会におけるITリテラシーは、企業経営そのものに大きな影響を与えるようになったのです。
ITリテラシーの構成要素
ITリテラシーは、一般的に以下4つの要素によって構成されます。
- コンピュータリテラシー
- 情報リテラシー
- デジタルリテラシー
- メディアリテラシー
ここでは、それぞれのスキルとその役割を見ていきましょう。
コンピュータリテラシー
コンピュータリテラシーは、ハードウェアやソフトウェアを適切に操作し、目的を達成する基礎的なスキルを指します。IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)では、以下のように定義されています。
コンピュータを操作して目的を達成する能力を指す。インターネットを用いて情報を探索、精査する能力を含む。
引用:ITLS(IT Literacy Standard)案の策定について IPA
具体的には、OS(オペレーティングシステム)の基本操作やファイルの管理・整理、ソフトウェアのインストールや使用、アップデートなどです。例えば、関連するファイルをフォルダに分類して管理する能力や、業務に必要な情報をすぐに取り出せる能力は、業務の効率化に繋がります。
コンピュータに関するトラブルを解決するスキルも重要なリテラシーの一つです。パソコンとプリンタの接続が切れたときに再接続するスキル、ソフトウェアをアップデートする能力は、IT機器のトラブルによる業務の滞りを防ぐために重要なITリテラシーなのです。コンピュータリテラシーは、業務をスムーズに遂行するための基礎的な能力として欠かせません。
情報リテラシー
情報リテラシーは、信頼性が高く正確な情報を効率的に集め、分析・活用する能力を指します。IPAでは、以下のように定義されています。
情報を探索、精査、活用する能力する能力。
引用:ITLS(IT Literacy Standard)案の策定について IPA
企業に蓄積されている情報の中から最新の情報を精査する能力や、信頼性の低い情報を排除し、信用できる情報を優先して選び取るスキルが挙げられます。また、収集した情報を整理して、データとして分析する能力も情報リテラシーとして重要です。例えば、マーケティングにおいては、市場動向のデータを集めてトレンドを知り、今後の動向を予測しながら戦略を立てることに役立ちます。
デジタルリテラシー
デジタルリテラシーは、デジタル技術を活用して情報収集・活用する能力などを指します。IPAでは、以下のように定義されています。
インターネットを用いて情報を探索、精査、活用する能力する能力。
引用:ITLS(IT Literacy Standard)案の策定について IPA
業務上で必要な情報をインターネットの情報から取得することは、現代のビジネスに根付いた方法の一つです。欲しい情報を検索して精査し、活用することは、重要な能力な業務スキルになっています。上述の情報リテラシーに似ていますが、その対処範囲などに違いがあります。以下のように区別するとイメージしやすいでしょう。
- 情報リテラシー:情報全般を目的に合わせて扱う能力
- デジタルリテラシー:情報全般を目的に合わせて扱う能力に加え、デジタル技術の知識やスキルも含まれる
メディアリテラシー
メディアリテラシーは、メディアが発信する情報を正確に理解して、評価する能力を指します。IPAでは、以下のように定義されています。
メディア情報を(クリティカル=批判的に)評価・識別する能力。
引用:ITLS(IT Literacy Standard)案の策定について IPA
近年では、SNSやインターネットサイトの口コミ、ブログなどあらゆるメディアの情報がビジネスに役立てられます。そのため、情報の信頼性を評価する能力が不可欠です。メディア情報を鵜呑みにせず、一次情報の確認や複数のメディアで確認を取ることを習慣づけることが大切です。また、自身が正確な情報をメディアに発信する能力もメディアリテラシーに含まれます。例えば、企業組織のアカウントでSNS運用する際には、誤解を与えないように内容を精査して発信しなければなりません。このように、情報を受け取る力はもちろん、発信する能力もメディアリテラシーとして重要なスキルなのです。
ITリテラシーの重要性とその需要
さまざまな職場において、ITスキルは必須となり、併せてITリテラシーが欠かせないものとなりました。ここでは、ITスキルの需要と、情報処理や問題解決能力の重要性について見ていきましょう。
職場でのITスキル需要
現代の職場では、業務におけるITの活用は不可欠です。特に、ExcelやWordをはじめとしたソフトウェア、プロジェクト管理ツール、データ分析ツールの活用などは、業務管理や意思決定の効率化を支えています。例えば、Excelでのデータ処理や、Google Analytics を使ったマーケティングは、多くの企業で使われているスキルの一つです。働き方改革やテレワークの普及においては、クラウドサービスでグループウェアやストレージを使いこなす能力が重要になります。
これらさまざまな種類のツールを使うスキルを身に付けなければ、スムーズな業務遂行が難しいと言っても過言ではありません。職場では、高度なITスキルの必要性が高まっているのです。
情報管理能力と問題解決能力の重要性
ITリテラシーは、個人の日常生活でも重要です。例えば、オンラインでの手続きやネットバンキングを安全に利用するには、基本的なITリテラシーを持っていなければなりません。IT機器やインターネットを使う場合は、情報漏えいやセキュリティ事故といったリスクに対する理解不足が、被害に繋がってしまう可能性があるからです。
また、社会全体を見れば「デジタル格差問題(デジタル・ディバイド)」も深刻化しています。パソコンやインターネットなどのIT技術を利用できる方と利用できない方の間では、生活の質やキャリア形成に大きな影響を及ぼしているのです。
このような背景から、情報処理能力や問題解決能力を養うための基礎的なITリテラシーは、仕事や生活において欠かせないものになっています。
ITリテラシーが低いことによるリスク
ITリテラシーが低いことで、さまざまなリスクが想定されます。ここでは、起こり得る4つのリスクについて見ていきましょう。
セキュリティ事故やデータ漏えいのリスク
ITリテラシーが不足した状態でIT機器やツールを使うと、セキュリティ事故やデータ漏えいのリスクが高まります。不正アクセスやフィッシング詐欺など、さまざまなサイバー攻撃に対して防御することを意識できないためです。例えば、信頼性の低いメール本文のリンクをクリックしたり、不用意に添付ファイルを開いてしまったりします。このような行動で、個人情報や機密データが流出する事例は後を絶ちません。短い数字やアルファベットだけを使用した単純なパスワードを設定したり、同じパスワードを使い回したりすることも、サイバー攻撃を受けやすい環境を自ら作ってしまう理由の一つです。また、企業全体のITリテラシーの低さは、システム全体の脆弱性に気づくことができないデメリットにもなります。その結果、ランサムウェアやウイルス感染のリスクが増加します。
セキュリティ事故やデータ漏えいが起これば、企業の信用失墜や業務停止、法的責任が問われる可能性もあります。自社の情報セキュリティを徹底するためにも、ITリテラシーの向上が欠かせません。
業務効率の低下と競争力の低下
ITツールの機能を積極的に活用できていない企業では、業務効率を改善することが難しく、生産性の低下を招く可能性が高くなります。例えば、プロジェクト管理ツールの利用において、ツール利用の利便性が理解できなかったり、ITツール利用を「面倒だ」と感じたりする従業員がいた場合、プロジェクト進行に必要な情報共有やタスク管理、意思決定がスムーズに進まなくなる可能性があります。これにより、チーム全体のモチベーションが維持できなくなり、業務効率が低下してしまうケースもあるのです。
また、従業員がオンライン会議ツールを十分に使いこなせず、取引先との打ち合わせや交渉がスムーズに進まないといった事態は、ユーザー離れを引き起こす可能性もあります。「使えない」は小さなことのように思えますが、業務に必要なITツールが使えないことは、企業としての競争力の低下に繋がるのです。
情報の誤用や判断ミスの増加
意思決定に誤った情報を使ってしまうリスクも、ITリテラシーの低さが関係します。例えば、市場調査において、SNSやWebサイトの口コミをそのまま信じてしまい、誤ったトレンドから商品開発を進めた場合、消費者ニーズに合致しない商品を販売してしまう可能性があります。これにより、プロジェクトの失敗だけではなく、無駄な在庫を抱えて利益の損失を招くなど、さまざまな損害を被ることになります。
また、取得した情報の信頼性評価を誤ると、データを誤用してしまうトラブルが発生するケースもあります。例えば、顧客別におすすめ商品を案内するために、購買行動のデータを収集した場合です。そのデータが古いものであると気づかずに使用してしまうと、ニーズに沿わない無効なキャンペーンを展開してしまうかもしれません。情報が精査できないことによる判断ミスが、顧客の信頼を損ない、大きな機会損失に繋がる可能性もあるのです。
社内外コミュニケーションの障害
ITツールが使えないことで、社内外のコミュニケーションに障害が発生してしまうリスクもあります。例えば、オンラインでコミュニケーションを取る場面でチャットツールが使えない場合、リアルタイムでのやり取りや情報共有が難しくなり、プロジェクトのスムーズな進行を妨げます。オンライン会議ツールの操作に不慣れな場合、ツールへアクセスできずに顧客へ迷惑をかけたり、画面共有の方法がわからず、資料を見せながらの説明ができなかったりと、さまざまな障害が発生する可能性もあります。また、メールの仕組みを理解していなければ、重要な情報を誤送信するといったミスが発生するかもしれません。これは、情報漏えいに繋がる重大な過失です。
ITリテラシー向上のメリット
ITリテラシーを高めることで、さまざまなメリットを得られます。ここでは、主な4つのメリットについて見ていきましょう。
セキュリティ意識の向上とリスク回避
ITリテラシーの向上は、セキュリティ意識向上とリスク回避に繋がります。例えば、情報漏えいリスクの理解度が深ければ、メールの扱い方一つを取っても意識が変わります。見慣れない送信元からのメールや添付ファイルの開封、リンクへのアクセスにも慎重になるでしょう。不正アクセスの原因を知っていれば、パスワード管理に気を使うことができます。
また、ITリテラシーが高い人材が多いほど、セキュリティソフトや、多要素認証などのセキュリティ強化がしやすくなります。
生産性の向上と業務の効率化
ITリテラシーを高めると、ITツールを活用した業務効率化が可能になります。例えば、グループウェアを活用することで、スケジュール管理や社内の設備予約など、通常業務に必要な管理を効率的に進めることができます。また、RPAなどの自動化ツールを導入すれば、パソコン上で繰り返し行う定型的な業務を自動化できるため、作業の大幅な時間短縮が可能です。
従業員一人ひとりが高いITリテラシーを持つことで適切なITツールを導入できるため、業務全体のスピードアップと、生産性の大幅な向上が期待できます。
最新技術への適応力強化
ITリテラシーが高い人材は、新しい技術やツールへの関心が高く、適応も早くなります。新しいソフトウェアやデジタルデバイスが導入されたとき、自らその使い方を学び、活用しようとするからです。例えば、新しいプロジェクト管理ツールが導入されれば、その操作方法をいち早く習得し、ツールを使ったタスク管理などで業務効率化を図るでしょう。社内のルールや商材理解のFAQに、AI導入を検討する従業員も現れるかもしれません。
AIやビッグデータ、IoTなどの最新技術に適応できる高いITリテラシーは、市場変化に対する柔軟な対応も可能にし、新たなビジネスチャンスを掴むきっかけにもなるでしょう。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の促進
全社員のITリテラシーが向上すると、社内のDX推進にも取り組みやすくなります。例えば、クラウドストレージでのデータ管理を始めても、「紙の方がわかりやすい」という従業員が存在すればDX化は進みません。しかし、全ての従業員のITリテラシーが高ければ、「クラウドサービスを使えば便利になる」ことが理解できるため、導入がスムーズです。
ITリテラシー向上は、業務のデジタル化をスムーズにし、ツールや技術を使いこなせる能力がDXを促進して企業の変革に繋がります。
ITリテラシー向上のための有効な方法
ITリテラシーを向上させるためには、どのような方法があるのでしょうか。ここでは、人材育成にも繋がる3つの具体的な方法を紹介します。
1. ITリテラシーセミナーや研修の実施
ITリテラシー向上には、セミナーや研修を活用した教育が効果的です。日常業務に沿った内容で効率的に研修を行うならば、社内研修カリキュラムを策定し、定期的に実施する方法も検討しましょう。また、企業内に専門知識を持つ人材がいない場合は、研修支援を提供している外部講師を招くことも一つの手段です。例えば、セキュリティ対策の基礎知識を習得するための研修や、データ解析ツールを使うなどの具体的なトレーニングが挙げられます。
従業員が一カ所に集まることが難しい業務環境ならば、場所を選ばずに学習できるオンラインでのセミナーや研修を活用しましょう。
2. IT関連試験への挑戦
IT関連試験に挑戦することで、ITリテラシーを体系的に学ぶことができます。例えば、情報技術の基礎的なスキルを測るITパスポート試験や基本情報技術者試験、Microsoft Office 製品のスキル向上を目的としたMOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)などは、ITスキルを学べる代表的な資格試験です。
資格取得に向けた学習を行うことで、ITの基礎知識が身につき、ツール活用の心理的ハードルも下がるでしょう。また、資格を取得すれば個人的なキャリア形成にも役立てられます。
3. ITツールや最新技術に触れる環境づくり
ITリテラシーは、座学だけで身につくものではありません。実際にITツールを使い、常に新しい技術に触れることが大切なポイントです。そのためには、業務環境を整備する必要があります。例えば、クラウドサービスのグループウェアを活用してスケジュール管理を行えば、日常的にクラウドサービスに触れられます。IDやパスワードの管理にも慣れるでしょう。グループウェアの中でチームとのコミュニケーションを取ることが多くなれば、常にITツールを使う環境で業務を進められます。
新しいデバイスやソフトウェアを試用できるように、テスト環境(サンドボックス環境)を用意しておくと成果も出やすいでしょう。新技術の利便性を実感すること、あるいはその技術にどのような不便やリスクがあるのかを試す行為自体が、ITリテラシーを向上させていきます。
まとめ
ITリテラシーは、昨今の業務おいて欠かせないものです。デジタルツールの活用や正しい情報の取得、セキュリティ意識の向上は、生産性を高めながらリスクを低減し、新技術への適用力になります。企業全体のITリテラシーを高めることで、DX化の実現も加速するでしょう。それらは、業務効率化はもちろん顧客満足度の向上にも繋がります。研修や資格試験を通じて基本知識を把握し、常にITツールに触れる環境でITリテラシーの向上を目指しましょう。
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更新日:
執筆:株式会社ネオジャパン 編集部
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