電子契約のメリット・デメリット

皆さんは、電子契約という言葉を知っていますか?今回はITコンサルタントの山﨑貴史が、電子契約とはどのような契約なのか、従来の書面による契約と比べたメリット、デメリットについてご紹介します。

電子契約って何?書面での契約との違いは?

電子契約って何?書面での契約との違いは?

電子契約とは、電子署名を使ってインターネット上において取り交わす契約を指します。
従来は、契約書を取り交わすことになった場合は紙面が用いられていました。現在も大半の契約が書面で行われており、電子契約の普及率は20%を下回っています。一般的に書面の場合は、契約内容を記載した書面に契約者双方(甲乙)が住所や名前を自筆で記載し、実印などのハンコを押すという形式です。遠方で対面が難しい場合では、契約書を郵送で送り合いながら捺印するというケースもあります。

一方で、契約をインターネット上で完結できる方法が電子契約です。電子契約サービスを提供するクラウド型サービスを使用する場合、クラウド領域に契約書をアップロードし、双方が電子証明書(電子的な印鑑)において押印するという形をとります。
近年、電子契約サービスが整ってきたことに加え、電子署名法、e文書法、電子帳簿保存法などの法整備が進んだことから、電子契約導入のハードルは大きく下がりました。

電子契約の3つの大きなメリット

電子契約の3つの大きなメリット

電子契約を行った場合のメリットはいくつかありますが、書面で契約していた場合と比較してみると、効率面、コスト面、セキュリティ面から大きなメリットが得られるでしょう。

1.情報を一元的に管理できる

書面の場合、契約後の契約書原本を厳重にファイリングして保管し、契約期間や契約満了日を忘れることがないよう、台帳を別途作成して管理するなどの方法がとられます。しかし、この管理は手間がかかります。

電子契約であれば、契約はデータになっていてクラウド上に保存されているため、検索がしやすいです。また、契約文書の管理機能がセットになっているサービスが多いので、アラートを設定しておくことができるなど、期日管理が楽になるでしょう。

これらのことから、ひとつのサービスで契約関係を一元管理できるのは大きなメリットです。規模の大きな会社の場合、さまざまな役職の人が契約書に目を通して、都度承認印が必要なフローを組んでいることが多いですが、インターネット上で稟議を行えるサービスを使うことでそういった業務の効率化も図れるでしょう。

2.印紙代がいらず、契約書を郵送する必要がない

書面による契約書には印紙税がかかります。印紙税は契約金額に応じて増えるため、契約が頻繁に発生する業界では印紙税のコストは比例して高くなります。一方で、電子契約には印紙税がかかりません。これは目に見えて大きなメリットですね。電子契約を導入するきっかけとして一番理解を得られやすいところかもしれません。加えて、電子契約であれば、契約書はインターネット上にあるので、郵送する必要もありません。郵送による日数を要せずにスピーディーに契約を締結することができます。さらに、紙の契約書を保管しておくスペースを社内に用意する必要がありませんので、その分のコストも不要になります。

ペーパーレス化を進めることと、電子契約を取り入れることは、書面を使用しないようにするという点で似ています。そのため、ペーパーレス化を進めている企業であれば、電子契約は効率化を進めるうえで大変相性が良いです。

3.改ざんや消失滅失のリスクが低い

電子契約において使う電子署名は、本人であることを証する印鑑としてのほか、「署名された時間に確かに契約書が存在していた」ということを証明するタイムスタンプとしての効用があります。書面の場合、契約書が改ざんされていないことを証明することは難しいです。また、電子上で保存されていることから、火事で燃えてしまったり、盗難されてしまったりといったリスクも減らすことができます。

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電子契約のデメリット

電子契約のデメリット

では、電子契約を導入することによるデメリットとは何でしょうか。既存の業務を早く、楽に、安全にできる可能性を持つ電子契約ですが、導入にハードルがあるでしょう。

1.取引先に電子契約の環境が必要

電子契約を行う場合、契約相手に電子証明書を取得してもらったり、同じサービスを使ってもらったりするなどの環境整備が必要になります。こちらは電子、相手は書面ということはできません。相手が電子契約をしたことがない場合、まずは説明して理解してもらい、合意を得て環境を作ってもらわなければなりません。しかし、環境を整えるにはそれなりのコストや手間、相手先の社内理解を得るなどの必要が出てくることから、いくらメリットが多くあると説明しても難しいことも考えられます。

2.書面契約が義務となっている契約がある

電子契約に関する法整備が進んできたものの、書面でないと契約として認められない契約書というものがいくつか存在します。定期借地契約や投資信託契約の約款、労働条件通知書の交付などがそれにあたります。これらの契約を締結する機会がある場合、電子契約の環境を整えたとしても電子契約フローにはできません。
すべての契約が電子化できないとなると、書面と電子契約が混在して業務がややこしくなって、結果的に手間が増えることも考えられるため、導入に二の足を踏んでしまうかもしれません。

ただし、どこもいきなり電子契約環境を全て整えることはできません。特定の重要な契約書のみに使うなど一部からスタートし、徐々に適用範囲を拡大させるという運用が一般的です。メリットを考えると、できない契約があるからといって導入自体を見送るというのはもったいないでしょう。

3.心理的な抵抗感が根強い方への説明と理解が必要

日本では、「契約書は書面で、相対で印鑑を押すもの」という考えを持つ人が多いといわれています。重要な契約に絡む立場の人は比較的年齢が高く、ITに苦手意識を持つ人も少なくないため、社内で導入する際のハードルになってしまう可能性があります。電子契約に移行するために、まずは経営者の理解、そして実際に使う方の理解を得ることが必要です。理解が十分でないまま導入を進めてしまった場合、使われずにコスト自体が無駄になってしまうこともあります。また、導入後は業務の流れが大きく変わり、従来よりも業務が進めやすくなるというメリットをしっかり説明し、スムーズに運用できる環境を整えましょう。

電子契約は普及するにつれてますます使いやすくなる

電子契約は普及するにつれてますます使いやすくなる

電子契約のメリットとデメリット(導入におけるハードル)について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。これから電子契約をする人や会社が増えてくれば、より効率化が進む可能性を秘めています。これから普及期に入りそうな電子契約システムですが、業務の効率化とコストカットを実現するシステム投資としてとても効果が高いですので、ぜひ検討したいところです。

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山﨑 貴史 執筆者プロフィール:
山﨑 貴史(ITコンサルタント)

ITコーディネーター、ウェブ解析士。中小企業に向けたIT利活用のサポートを複数手がける。
企業毎の長所を活かしたITツールの選定や導入運用サポートや、売上向上につながるウェブマーケティングに定評がある。

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