ペーパーレス化のメリットとは?
効果的に進める方法と事例を紹介
業務において必要な書類を減らしていくことを意味するペーパーレス化は、主に書類のデジタル化を指します。業務のデジタル化が進む現代においては、多くの企業において必須の対応です。しかし、膨大な書類をどこから、どのようにペーパーレスを進めるべきか迷っている企業もあることでしょう。十分な準備無しにペーパーレス化を推し進めてしまうと、業務そのものがやりにくくなってしまう可能性もあります。そこで本稿では、ペーパーレス化のメリットや効果を確認したうえで、ペーパーレス化を効果的に進める方法を紹介します。
ペーパーレス化が求められる背景
最初に、ペーパーレス化が求められる社会的背景から見ていきます。
企業の社会的責任が重視されるようになってきた
もとより環境保全への関心が高まっていましたが、さらに近年は企業の果たすべき責任も重視されるようになってきています。環境問題は国や個人だけが取り組む課題ではなく、企業も解決に向けて責任ある立場を担うと考えられるようになっているのです。紙使用量の削減、再生紙使用率の向上、グリーン購入や廃棄物リサイクルの推進など、各社の取り組みが進んでいますが、森林伐採を減らすことにつながるペーパーレス化は、企業ができる環境保全活動のひとつとして取り組む意義が高いといえます。
デジタルコミュニケーションが当たり前となりつつある
テレワークは新しい働き方として定着してきています。テレワークに対応するため、社内における会議や、商談や顧客とのやり取りにおいて、WEBの会議や面談はあって当たり前の選択肢です。コミュニケーションのデジタル化にともない、資料や、やり取りする書類のペーパーレス化も必要性が増しています。
経済社会の仕組みにおいてデジタル化が進んでいる
2022年1月の電子帳簿保存法改正では、電子取引データの電子保存が義務化されました。官公庁へのさまざまな申請もインターネットを通じて行えるようになってきています。経済社会の仕組みが紙を必要としない構造に変わりつつあり、企業は対応を迫られています。
これらの社会的背景により、紙の資料をデジタル化するペーパーレス化の推進は必須といえます。
ペーパーレス化がもたらすメリットとデメリット
ペーパーレス化は社会の変化に対応するだけでなく、自社にメリットももたらします。ただしデメリットもあります。
ペーパーレス化のメリット
情報共有のしやすさによる業務改革
オンラインでやり取りができるため社内での情報共有が容易になります。いつでもどこでも情報の確認が可能となり、テレワークでの業務が行いやすくなります。テレワークのみならず、本社・支社・取引先等の、離れた場所とのやり取りも円滑化します。
ナレッジ活用の推進
デジタル化により、膨大な情報量をスムーズに蓄積していけます。また、必要な情報の検索や過去の情報分析が容易になるのでナレッジ活用につながります。
コスト削減効果
物理的な保管場所が不要となります。ファイリングの作業が無くなるほか、紙の購入費やトナー代も削減可能です。
対応の迅速化
紙の書類であれば、取引先や顧客とのやり取りは書類を郵送する、もしくは対面での手渡しとなります。しかしデジタル化することでタイムラグのないスピーディーなやり取りが可能となります。欲しいときに迅速に情報を届けられることで相手方の満足度が高まる効果も生じるでしょう。
ペーパーレス化のデメリット
デジタルデバイスを介したやり取りに抵抗がある
デジタルコミュニケーションに馴染んでいる社員ばかりとは限りません。「紙の方がメモや訂正が楽」「デジタル画面は読みにくい」など紙に愛着がある社員にとっては、ペーパーレス化は受け入れにくいかもしれません。
データ消失リスク
共有しているデータを誰かが誤って削除してしまうと、共有メンバー全員がデータを見られなくなってしまうことがあります。誤ってデータの内容を変更してしまう、間違った場所に保存してしまう、といったケースに関しても同様のリスクがあります。
ネットワーク環境に影響を受ける
ネットワーク環境が安定しないことで、資料等の読み込みに時間がかかったり、閲覧できなかったりするリスクが生じます。場合によっては業務に支障が出るでしょう。
ペーパーレス化にはこのようなデメリットもあります。しかし、デジタル化が進むなかでペーパーレス化は避けて通れない事象です。紙への愛着が強い社員には、ペーパーレス化のメリットをしっかりと説明することで、より理解を得やすくなるでしょう。またデータ消失リスク等に関しては、運用ルールを作成・周知していくことで対応できます。
ネットワーク環境については企業側が率先して環境を整えることで、ペーパーレス化を促進しやすい土台を構築していきましょう。
ペーパーレス化を進めるための方法
ペーパーレス化をスムーズに進めるためには「既にある紙資料の電子化」と「業務のペーパーレス化」の2つの視点で考えていくことが重要です。それぞれの方法を紹介します。
紙資料をデジタル化するためのステップ
既にある紙の資料は、スキャニングによってデジタル化する方法があります。しかし単にスキャナで読み取っていけばよいのではなく、ステップに沿ってデジタル化を進めていかなければなりません。
1.デジタル化する書類の整理
すべての紙資料をデジタル化するのでは作業時間が膨大になってしまうので、デジタル化の要・不要を分けましょう。また、国税関係書類のうち、請求書や領収書等(控え含む)の取引関係書類をスキャニングする場合は電子帳簿保存法による保存要件が必要となります。
2.ルール策定と体制づくり
バラバラにスキャンニングしてしまうと、後で閲覧しにくくなってしまいます。最初にスキャニングする際の解像度や向き、大きさなどを決めていきます。さらにスマートフォンやデジタルカメラによる撮影画像は使用可能とするか、など社内でルールを制定します。
3.体制づくり
ルール制定と同時に、ルールを順守していくための体制も作っていきます。例えばスキャニング後の紙資料を破棄するかどうかを決める際には「破棄する場合のチェック体制」「シュレッダー(破棄)後の膨大な紙ごみをどうしていくか」など、細かい部分まで話し合い、運用しやすい体制を構築します。
4.スキャニングの実施
作業する人員を確保して、スキャニングを実施します。時間をとって一気に行う方法と、通常業務の傍ら少しずつ進める方法があります。もしくは、重要書類だけは一気に終わらせて、残りの書類は少しずつ進めるという選択肢もありますので、担当者の負担が重くなりすぎないよう柔軟に進めていきましょう。
5.所定の方法による保管
デジタルデータは規則性のあるファイル名をつけることや、所定のフォルダへ格納することなどを通じて、後にデータを確認しやすいようにして保管していきます。また、データ量が入りきるだけのストレージの確保、データ消失に備えたバックアップも重要です。
文書の電子化について詳しく知りたい方は、「文書を電子化するメリット」でご紹介しておりますので併せてお読みください。
これから業務をペーパーレスするためのステップ
現在は紙ベースで行っている業務を、今後ペーパーレス化するためのステップは次のとおりです。
社内の理解を深める
慣れ親しんだ紙の書類の方がよいと考える人もいるため、いきなりペーパーレス化を推進する前に、社内でペーパーレス化のメリットや効果を十分に周知します。ITリテラシーにも差があるので、デジタル化の方法も丁寧に説明しましょう。すべての書類を一気にデジタル化するのが難しい場合は、徐々に始めていくことも検討します。
社外への丁寧な説明
取引先や顧客企業のなかには、「紙の書類や資料が欲しい」「デジタル化のファイル形式は〇〇以外認めない」などという企業もあると考えられます。話し合いのうえ、互いにとってやりやすい形でペーパーレス化を進めていきます。ただし、相手側企業のデジタル化が進んでいない場合は、ペーパーレス化がどうしても難しいこともあるでしょう。相手側の状況によってはペーパーレス化を遅らせることも検討しましょう。
業務フローの見直し
紙の書類であれば、対面で渡すことや、出社して書類を確認することが必要となりますが、デジタルデータであれば、テレワーク時や外回り中でも確認可能となります。業務フローそのものをデジタルに対応させると業務効率化につながります。例えば、それまで部署内で書類を回し、確認したら都度ハンコを押していたような業務フローを、確認したらその旨をグループチャットで報告するようなフローに変えるといった見直し・改善を行います。
資料や、やり取りする書類を単にペーパーレス化するだけでは、結局個人で資料などを印刷してしまうかもしれませんし、デジタルでの情報共有の方法が周知されていなければ共有漏れが生じてしまいます。そのため、ペーパーレス化に対応したフローの構築・周知が重要です。これらのポイントを押さえていくことで、効果的にペーパーレス化を進めていきましょう。
ペーパーレスについてのおすすめ資料
業務フローの見直しはDX推進にもつながる
ペーパーレス化にともない業務フローを見直すことは、DX推進にもつながります。DXとは、デジタル技術を活用することによって業務改変や組織にイノベーションをもたらすものです。
ペーパーレス化とともに業務フローを見直すことは、デジタル化の効果を最大化することになるといえます。例えば自社会議室の予約情報をペーパーレス化して誰でも共有できるようにし、急なミーティングや商談にも対応できるようになれば、事業が停滞することが避けられます。
さまざまな情報を全社的に共有することは、組織全体の活性化や部署を超えた横断的な取り組みの促進などの効果も期待でき、その先のDX促進にもつながるといえるでしょう。つまりペーパーレス化によるデジタル化は、DXの第一歩となるのです。
DXとは、最終的にビジネスモデルの変革や競争上の優位性を確立するといった、高度な概念です。そのためDX推進に迷っている企業も少なくないことでしょう。しかし迷っているときこそ、その第一歩である、ペーパーレス化から始めてみてはいかがでしょうか。身近なデジタル化から取り組むことで、DXを促進しやすくなるはずです。
なお、ペーパーレス化を支援するツールも数多くあります。ツールについて詳しくは「ペーパーレス化のツールを活用しよう!種類や選び方のポイントを事例とともに紹介」をご覧ください。
DXについてのおすすめ資料
DX はじめの一歩
[社内稟議・申請のペーパーレス化 編]
DXのはじめの一歩となる「デジタイゼーション」とはどういうことなのか、デジタル企業への変革プロセス、社内稟議、申請のペーパーレス化のメリットについてわかりやすく解説した資料です。
ペーパーレス化の導入事例
ツールやシステムを活用してペーパーレス化を進めた企業の事例を紹介します。
新型コロナ禍の営業時間変更など、最新情報の全店での把握・共有で情報連携を実現
株式会社松屋様
老舗百貨店を経営する同社は、社内の情報共有や紙ベースの承認申請等に課題を感じていました。2008年から持続性のある店舗の魅力づくりへの取り組みを検討し、そのなかで選ばれたのがグループウェアdesknet's NEOでした。年中無休、かつ店舗が複数ある百貨店ゆえにスケジュールの把握が難しく、情報共有や会議の開催に課題がありました。そのような状況で、承認申請も非効率的なものになっていました。
システムの選定にあたっては直感的な操作感で従業員の負担を抑えることを重視し、desknet's NEOを導入。情報共有、スケジュール把握が容易になり、会議開催までの手間が劇的に軽減したほか、承認申請のペーパーレス化も進みました。
株式会社松屋様の導入事例を見る
本社と支店、建設・保守現場の情報共有を実現 全社員の担当現場、勤務スケジュールもリアルタイムで把握
三軌建設株式会社様
総合建設業を営む同社は、九州と東京の2本社体制をとりつつ、事業は全国で展開しています。従業員が全国に点在し、勤務形態も多様であったため、従業員同士でコミュニケーションをとりにくいという課題がありました。また、承認申請業務も紙ベースであったため、郵送したり近くの地点まで持参したりと、業務負荷が高くなっていました。
画面のわかりやすさ、機能の実用性、コストなどの要件を満たすdesknet's NEOを導入したところ、承認申請で大きな効果を発揮。日常業務で利用度の高い申請書式59種類をまとめて[ワークフロー]へ移行しました。また、desknet's NEOのスケジュール機能はメンバーの予定がすぐにわかり、自身の予定も共有できるため、大いに役立っています。
三軌建設株式会社様の導入事例を見る
効率的なペーパーレス化の方法を知り、メリットを得よう
ペーパーレス化をしっかりと進めるためには、体制や業務フローを変えることを検討してみる必要があるでしょう。もしかしたら、そのような変化を受け入れにくく感じる社員もいるかもしれません。しかしペーパーレス化には多くのメリットがありますので、積極的に取り組んでいきましょう。また、メリットを享受するためにはペーパーレス化のルール制定や社内の理解など、十分な準備が必要です。社内理解の場を設けたいと考えいる場合は、社内説明会で使用可能な「会社を変える ペーパーレス化とは? ダウンロード」をご活用ください。
段取りよくペーパーレス化を実践していくことで、効果を最大化しやすくなります。情報共有・文書管理システムやワークフローシステムなどのツールを用いると、さらに効果的なペーパーレス化が可能です。「desknet's NEO(デスクネッツ ネオ)」なら、ビジネスの現場で役立つ27もの機能が搭載されており、さまざまな業務の効率化を助けます。ペーパーレス化を進めたいと考えるのであれば、ぜひ検討してみてください。
デスクネッツ ネオについてもっと詳しく
desknet's NEO 製品カタログ
情報共有、業務の改善・デジタル化、セキュリティ管理などの社内の課題を解決できるグループウェア desknet's NEOの製品ご案内資料です。
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