大野市役所および大野市消防本部
様の導入事例
他部署との情報共有は紙が“常識”。それから9年、グループウェアがもたらした業務改善と意識改革とは?
福井県の北東部に位置する大野市役所様は、“天空の城”と呼ばれる越前大野城に加えて、“星のまち”としても知られています。環境省が実施する全国星空継続観察事業において、2004年に大矢戸区、05年には南六呂師区が「日本一美しい星空」に選ばれました。そして23年8月、星空の世界遺産とも言われる「星空保護区®」アーバン・ナイトスカイプレイス部門で、南六呂師区がアジア初の認定を受けました。
そんな大野市役所様のブランド・キャッチコピーは「結の故郷 越前おおの」。お互いに助け合う精神が住民に育まれています。これは大野市役所や大野市消防本部で働く職員も同じ。快適な職場環境を実現するため、約9年前にネオジャパンのdesknet's NEOを導入しました。現在までの足取りをたどります。
たとえ手間暇がかかっても紙ベースでのやり取りが“常識”。
運用ルールが曖昧だったメールもうまく活用できず。
大野市役所様のデジタル化の取り組みは全国的にも早く、2000年には庁内ポータルサイトをイントラネット上に構築。そこには各種文書の様式や内線番号表などがアップされていました。
ただし、ポータルサイトを更新するにはHTMLタグを書く必要があるなど、所管する総務課の中でも寺西様をはじめITに詳しい職員がメンテナンスを担当せざるを得ませんでした。
また、ポータルサイトが全庁の情報共有基盤として根付いていたかというと、そうとは言い切れず、閲覧していない人も多数いました。当時の役所内は紙ベースでのやり取りがほとんど。例えば、総務課から職員にお知らせがある場合は、レターを作り、各部署の窓口にポスティングしなくてはなりませんでした。仮に返答を必要とするレターだと、内線電話をかけてきちんと中身を読んだかどうか確認する手間も発生していました。
既にメールはあったのにも関わらず、なぜ使われていなかったのでしょうか。それは、部署ごとの代表アドレスに送っても、誰か一人が先に開封してしまうと、他のメンバーは読めない仕様になっていたからです。それを防ぐためにメンバーの個人アドレスにもメール転送することがありましたが、各自が読んだかどうかを確かめる術もなく、結果的に紙ベースで連絡事項を流したほうが情報の漏れがないという判断でした。
また、メールに関して、特段ルールを決めて管理していなかったこともあり、個人アドレスで外部と仕事のやり取りをする職員もいました。すると、例えば急病で欠勤した場合、やり取りしていた相手とのコミュニケーションが滞ってしまうという問題も多々ありました。
もっと効率的でスマートな情報共有の仕組みを作りたいと考えていた時に、寺西様はグループウェアの存在を耳にしたのでした。
誰もがすぐに使いこなせるUIが魅力的。
既存ユーザーだった自治体からも高評価。
グループウェアの選定にあたり、インターネットで調べてはベンダーに直接電話をかけて製品デモを依頼する中で出会ったのがdesknet's NEOでした。
最終的に採用の決め手となったのは、製品のUI。たとえITが不得手な職員であっても、ほぼ説明不要で使えてしまうような優れたUIが気に入りました。
「他の製品ではプルダウンで機能を選択する操作が多かったです。それだと通常は隠れているため、気づかないユーザーもいるはずです。desknet's NEOはすべての機能がボタンではっきりと表示されていて、クリックするだけでいい。誰もが使いやすいことが一番のポイントでした」
もう一つは、コストパフォーマンスの良さです。原則として自治体は競争入札によって製品を購入するため、価格も重要な判断基準になります。desknet's NEOは製品の成熟度も然ることながら、比較検討した中で最安値だったといいます。
「グループウェアのような内部だけで使うシステムには予算がつきにくく、実際に『今まで通り紙でやればいいだろう』とも言われました。そうした状況の中で価格が比較的安かったのは説得材料になりました」
desknet's NEOを選んだ3つ目の理由は、他の自治体からの評価が高かった点です。検討にあたっては、既にユーザーである自治体をリストアップし、電話などで担当者にヒアリングしました。そこで「使いやすい」といった声を多く得られたことが背中を押しました。
製品検討から入札、そして製品決定後のシステム構築を経て、2014年10月に本稼働となりました。
導入プロセス
導入製品検討
2014年初頭に検討開始。各社に製品デモを依頼
製品決定(PROCESS1〜2を約4カ月)
競争入札により製品決定
正式導入
オンプレミス環境でシステム構築を行い、2014年10月に本稼働
desknet's NEOの各種機能をフル活用し、紙ベースのやり取りが皆無に。
1)[アンケート]や[回覧・レポート]を活用したことで、紙ベースでの連絡や情報共有がほぼゼロに。
最大のボトルネックになっていた紙ベースでのコミュニケーション。これはdesknet's NEOを導入してから段階的に減っていきました。
真っ先にテコ入れしたのは職員向けの調査です。この作業を[アンケート]機能による配信に変えました。これが飛躍的な効率化を生みました。
「今までは職員一人一人にメールを送り、ファイルサーバに置いてあるエクセルシートに回答を記入してもらうようなやり方でした。[アンケート]機能を使えば一斉配信できますし、回答結果はCSVファイルで出てくるので集計も楽。これは便利だと実感しました」
総務課の人事グループでは毎年必ず勤務に関する申告書を全職員に配布しています。紙の書類に現在の所属確認や、健康状態、異動希望などを記入してもらい、それを集めて一枚一枚目を通しているわけです。そうした煩雑な業務が[アンケート]機能の活用によって簡略化でき、集計にかかる時間もかなり短縮化したと喜んでいるそうです。
紙ベースのやり取りで困っていたのは、大野市消防本部も同じでした。例えば、「道路通行止めのお知らせ」をすべての消防職員に伝えるべく、紙書類を作成し、そこに計55人分の押印欄を設けていました。それを順番に回覧するわけですが、当然のように出動中や非番の消防職員もいるため、途中で止まることもしばしば。全員の押印がそろった時には通行止めは解除されていたという事態も起きたことがあったといいます。
そこで活躍したのが[回覧・レポート]機能でした。「通行止めのお知らせをテンプレート化し、毎回それをファイル添付するだけで一気に全員に送ることができます。同報性と拡散力があり、かつコメントも付けられる。なんて便利なものが導入されたのかと嬉しく思いましたね」と渡辺様は振り返ります。
もう一つ、従前の課題だったメールの管理にも取り組みました。個人アドレスで外部と仕事のやり取りを行うのではなく、複数メンバーで部署の代表アドレスを利用するルールにしました。これは、1つのメールアカウントを複数のメンバーで共有できる機能をもつdesknet's NEOだからこそ実現できました。
[アンケート]やメールの活用が進んだ結果、現在は紙資料などのポスティングはほとんど行われていません。
2)[スケジュール]と[設備予約]により、対象者の予定を押さえるだけでなく、会議場所や備品も同時に確保でき、調整業務が大幅に効率化した。
desknet's NEOを導入した当初からすべての機能を使っていたわけではありません。一部については制限していました。その一つが[スケジュール]でした。
スケジュール管理はそれ以前から部署ごとに個別の方法があり、ホワイトボードや手帳のところもあれば、Googleカレンダーで全員共有しているところもありました。既に使い慣れたものがあるならそのままでいいのではという理由から自主性に任せていました。
ところが、新型コロナウイルスの感染拡大によって状況は一変します。さまざまな対応に追われて、大野市役所様のほとんどの職員が多忙を極めました。デジタルの力を使わなければ業務を続けることは難しいという判断のもと、令和3年度から「業務再構築プロジェクト」が立ち上がりました。そこで示された方針が、desknet's NEOを使いこなすことでした。
まずは職員全員が[スケジュール]を必ず入力して、共有するようにと、市長から末端の職員まで平等に取り組みました。これによって会議を招集するときに、対象者の空き時間を見つけてすぐに予定を押さえてしまうことが可能になりました。
同時に、[設備予約]機能も活用するように。
「以前は県の共通予約システムを使っていたのですが、庁内の端末がインターネットから切り離されているので、使いづらいという悩みがありました。desknet's NEOの設備予約を使えるようになったことで、会議室や備品の予約もスムーズになりました。特にコロナ禍ではWEBカメラやWi-Fiルーターなど共用備品の使用機会も増えたので、非常にタイミングが良かったです。すべてスケジュール画面から予約できて助かっています」
3)帳簿に手書きだった消防署の車両整備・点検業務を[AppSuite]でデジタル化。
ワークフローやアプリ間連携を構築して作業を簡便化したことに加え、チェック漏れの低減にもつながった。
先述したように、コロナ禍で業務再構築プロジェクトが発足。そこで新たに利用し始めたのが[AppSuite]でした。これは職員の提案が大きく関与しました。
消防業務における車両の維持管理は重要な責務であり、日頃の整備、点検はもちろんのこと、運行状況もしっかりと記録して、いつ何時でも最大限のパフォーマンスを発揮できるように備えます。ところが大野市消防本部では、管理する車両は20台あるのに以前はすべて手書きで記録していました。しかも整備、点検、出動の帳簿は別々に存在したため、重複入力なども起きていました。
「この業務にかかるコストは大きく、何となく無駄が存在しているのは皆分かっていましたが、どうすることもできない状況でした。また、人的なチェックだけではどうしてもミスが生まれてしまうので、機械の処理と人間の目というハイブリッドな方法が必要だと痛感していました。そこでプロジェクトチームの中で議題に上げたところ、AppSuiteで解決できそうだとわかりました」
職員自らが[AppSuite]を使ってアプリケーションを構築。災害出動の記録を入力すると、車両のマスタデータから整備や点検の記録も同時に引っ張ってこられるように。それぞれのアプリを連携させ、上長決裁や内容チェックの機能も持たせました。それにより、大幅なペーパーレスを実現したことに加え、本業務に関わる若手職員の負担軽減にもつながりました。
もう一つ、時間外勤務の申請、承認、集計作業もアプリですべて実行できるようにしました。消防活動という特性上、急な出動や長時間勤務はざらにあります。従来はそうした記録を本人ではなく総務課の担当者が代わりに手書きで行っていました。ただし、例えば大火災が発生して一度に30人が出動するとなれば、とても総務課で対応しきれなくなってしまいます。そこで消防職員が各自、アプリで時間外勤務の時間をメモ入力できるようにして、さらにAppSuiteとワークフローを連携させ、後日、そのデータを取り込んで申請する方法に変えました。これによって総務課は入力する必要がなくなりました。
[ワークフロー]の構築は市役所内でも進みました。背景には2020年度末に庁内文書や住民手続きの大部分でハンコを廃止したことがあります。
「以前は起案書(稟議書)の様式をワードで開いて、記入、印刷し、ホッチキスで止めて、押印してから回していました。決裁後はパンチを開けて保存する。こうした作業が一切なくなりました」
具体的な効果としては、2022年度末に、前年比で共用複合機の紙使用量が2割減りました。トナーの購入量も14%減っており、AppSuiteやワークフローの活用がペーパーレス化に大きく寄与しました。
今となっては紙ベースの資料や書類を使う方が珍しく、「なんで紙なの?」と言われるほどに。desknet's NEOの導入は大野市役所と大野市消防本部の皆様の職場文化そのものを変えたといっても過言ではないでしょう。
ご担当者のコメント
事業概要
自治体。霊峰白山の支脈に囲まれた人口約3万人の城下町。2024年に市制施行70周年を迎える。ブランド・キャッチコピーは「結の故郷 越前おおの」。昔からお互いに助け合う習慣や、地域との絆を大切に育んできたまちであることを表現した。近年は新たな観光資源として美しい星空をアピールする。
導入サポート企業
株式会社江守情報は、前身となる会社の情報事業を継承する形で2016年に設立し、全国に向けて事業展開してきました。2021年12月には北陸電力グループに参画。現在は40年以上の事業実績をもとに、公共・企業向けの基幹システムの開発や輸入ソフトウェアの販売事業を行っております。
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AppSuiteの導入で業務改善が進み、さらに仕事が楽になりました。今後は職員各自が課題を見つけて改革していく。そういうマインドをもっと身に付けたいと考えています。
まだ使っていないdesknet's NEOの機能もたくさんあります。行政の仕事は今後も増えていくと思うので、住民のためにも、現状に満足せず業務改善を続けたいです。
常に人命と向き合うため、失敗は避けたいという意識を持って仕事をしていますが、業務改革に関しては改善と学習を繰り返すアジャイル型が大切だと感じています。「とりあえずやってみよう!」といった柔軟な考えで、今後もAppSuiteなどをフル活用していきたいです。