東京都済生会向島病院
様の導入事例
アナログ的な情報共有にメスを入れた老舗病院。
グループウェア初導入がもたらしたインパクトとは?
日本最大級の社会福祉法人として、全国403施設(うち病院は81)、434事業を展開するのが「済生会」です。設立は1911年で、創設者は明治天皇。「生活が苦しく医療を受けることができずに困っている人たちにも、医療、福祉の手を差し伸べるように」という勅語によって生まれました。
その11年後、東京都済生会向島病院様は「寺島出張診療所」として開設。それから100年以上経った今も、当初の精神は変わっておらず、生活困窮者を含むすべての人々を助けようと、地域に根ざした医療・福祉を提供しています。
向島病院様の強みは、さまざまな専門分野の医師、看護師、職員などが一体となって働く「チームワーク」でしょう。それをより強固なものとするため、このたび初めてグループウェア製品を導入しました。そこに至るまでの経緯や、desknet's NEO活用によって見えてきた成果などをご紹介します。
共通のコミュニケーションツールがなく、病院全体での情報共有に課題あり。システム端末の複数運用にも非効率さを感じていた。
現在177人が働く向島病院様は、日々の業務でのやり取りやスケジュール調整など、職場内でコミュニケーションを図る機会は極めて多いです。しかしながら、職員一人ひとりが所有するメールアドレスはなく、PCなどのシステム端末も部署で共有するような状況だったため、院内の情報共有は基本的に紙やホワイトボードを使った“アナログ”かつ“一方通行”なやり方でした。
一応、電子カルテシステムに掲示板機能はあったものの、利用者が限られていました。
「結局、電子カルテは我々みたいな事務系の職員は使わないし、その端末も部署に1台しかありませんでしたから、情報共有といってもなかなか難しかったのが実情でした」
他方、情報系(PC)と業務系(電子カルテ)で端末が分かれていることにも、多くの人たちは不便を感じました。特に医師は電子カルテを日常で使うため、そちらの端末でメールなどを見たいというニーズがありました。
このような状況に加えて、新型コロナウイルスの感染拡大以降、医師や職員が一堂に介する集合ミーティングなどがなくなったことも、情報伝達・共有の面で大きな悩みの種になっていました。
「(塚田信廣)院長からも『もっと情報共有を推進したいから、病院全体でのコミュニケーションツールを考えてくれないか』と言われました。そうしたことがきっかけになって、グループウェアの導入検討を始めたのです」
グループウェアから電子カルテへのシングルサインオンが決め手。
済生会グループの他院でdesknet's NEOを利用していたことも後押しに。
グループウェアの選定にあたり、まず候補に挙がったのが、同じ東京都の済生会中央病院で使われていた製品でした。電子カルテと連携できる医療機関向けのグループウェアで、塚田院長をはじめ何人かの職員がかつて中央病院に勤務していたため、馴染みがありました。
ただし、向島病院様で考えていたのは、あくまでもグループウェアが主軸のコミュニケーションプラットフォームで、そこから電子カルテなどを連携させるというシステム構成でした。上記のグループウェアから既存の電子カルテにつなぐシングルサインオン(SSO)機能はなく、思い描いていたシステム構成は実現不可能でした。さらに導入・運用コストも予算オーバーしていました。
「SSOがネックでした。電子カルテがベースになってしまうと、グループウェアを利用するには電子カルテの専用端末を人数分用意する必要がありました。製品そのものの導入費用も我々の規模の病院では高すぎました」
安価に抑えて、かつ全員がすぐに使えるコミュニケーション基盤がほしい。そうした条件の中で目をつけたのが、済生会グループの他の病院が既に導入していたdesknet's NEOでした。現地のITシステム担当者にヒアリングをした結果、向島病院様にとっても最適なグループウェアだとわかり、すぐに採用に向けて動き出しました。
決め手となったのは、やはりSSOの機能でした。
「何よりもユーザーの利便性とシステムの安全性を重視していました。利便性を実現するにはまさにSSOが不可欠だったのです」
ただし、利便性を追求するあまり、誰でも電子カルテシステムにアクセスできてしまっては本末転倒です。そこでSSOを許可するユーザーを制限し、向島病院様の資産管理システムに登録されている端末のみ、desknet's NEOから電子カルテに接続できるようカスタマイズしました。
「電子カルテは個人情報が詰まったシステムですから、外にデータが漏れては当然まずいです。そこでdesknet's NEOの販売代理店、電子カルテのメーカーと議論をした結果、ユーザーが手間なく、かつ安全にグループウェアから電子カルテにアクセスできそうだとわかりました」
こうして2021年の初頭、desknet's NEOを正式に採用することが決定しました。
導入プロセス
導入製品検討
2020年末ごろ、済生会グループでのNEO活用事例をヒアリング
製品決定(PROCESS1〜2を約1カ月)
正式導入
医師や職員などへの説明会などを経て、2021年6月に本稼働
情報共有のデジタル化によって双方向のコミュニケーションを実現。
スケジュール管理や会議室予約もスムーズに。
1)[インフォメーション]の活用で業務連絡等の見落としが大幅に減少。
desknet's NEOの導入が決まってから本稼働まで約半年。その間に医師や職員への説明会を開きました。今回、向島病院様はグループウェアの導入が初めてだったわけですが、特に事前の混乱はなく、すんなりと運用フェーズに入ることができました。
また、電子カルテを使う際には必ずdesknet's NEOを起動する必要があったため、多くの医師や職員にとってすぐに身近な存在となりました。
とはいえ、desknet's NEOのポータル画面は毎日目にするものの、当初はコミュニケーションツールとしての活用率は決して高くなかったようです。そこで総務課では、ユーザーの利用を促そうと積極的に[インフォメーション]で業務連絡を流しました。
これはもう一つの狙いもありました。先述したように、今までは連絡事項を紙で配布したり、ホワイトボードに書き出したりしていたため、果たして見られたのかどうかを把握できていませんでした。[インフォメーション]で配信することで、受け手の反応がわかり、結果的に職員などが情報を見落とすことも減ったといいます。
「desknet's NEOを導入したばかりの頃は[インフォメーション]について『知らない』『見ていない』といった声もありました。最近はそうした声もないので、職員にほぼ周知されているのではないでしょうか。また、総務課だけでなくいろいろな部署で[インフォメーション]を活用してくれています。それによってかなり早い段階で定着したはずです」
ある職員は、過去の情報が閲覧できることも利点だと話します。
「今までのように紙をホワイトボードなどに貼って情報共有する形だと、剥がしてしまったらもう知るすべはないですよね。でも、今はデジタルデータとして残るため、過去の情報を検索できるし、同じような内容を出したいと思えばコピーも可能です」
2)[アンケート]や[回覧・レポート]によって双方向のコミュニケーションが可能に。
従前より向島病院様が抱えていた、一方通行の情報発信・情報共有という課題。[インフォメーション]機能によってその悩みは緩和されました。さらに、発信した情報がしっかり共有されたことを明確化するのが[アンケート]や[回覧・レポート]でした。この機能のおかげで情報を受け取ったユーザーの反応にとどまらず、既読になったかどうかも一目瞭然になりました。
徐々にではありますが、向島病院様では情報の送り手と受け手の双方向コミュニケーションが定着しつつあります。より習慣化させるために、[インフォメーション]と同様、[アンケート]および[回覧・レポート]も総務課で事あるごとに活用しています。
「例えば、病院に寄贈いただいたものを職員に還元する際、この機能を使って申し込んでもらいました。あとは、コロナワクチン接種の希望者を募る時にも、このツールを使うように徹底しました。今までだったら申し込み用紙を配って、それに回答してもらい、回収するという作業が必要でしたので、そうした手間暇がなくなりました」
3)[スケジュール]と[設備予約]による事務作業の効率化。
総務課長の加藤様が最も役立っていると喜ぶのが[スケジュール]機能です。
「他のスタッフの[スケジュール]をすぐに閲覧、確認できるので、とても重宝しています。以前は予定の書かれたホワイトボードを見て確認したり、週初めのミーティングなどで直接本人に聞いて手帳に書き込んだりしていました。完全にアナログでしたよ」
現在は医師を含めたほとんどのスタッフが[スケジュール]を入力しており、desknet's NEO上で一元管理されています。
関連して、[設備予約]も業務効率化に大きく寄与しています。従来は事務室にある紙台帳に記入して、会議室や備品を予約するフローでした。これが今やどこにいても手元の端末から予約できるだけでなく、空き状況などもすぐにわかるため無駄が生じません。
「この機能でPCやプロジェクターなどの備品も予約できます。備品は数が限られているので、予定が立った時点でわざわざ事務室へ行かずに押さえることができるのは、とても効率的で便利になりました」
向島病院様は今後もdesknet's NEOの機能を拡充していく方針です。例えば今、総務課でトライアルしているのが[ワークフロー]。稟議書は年間1000件以上にのぼり、その紙を保管するのにも苦労が伴います。ペーパーレス化によってそうした課題がなくなることはメリットしかありません。2023年中には全部署に展開していきたいと意気込みます。
ご担当者のコメント
事業概要
医療機関。1911年、明治天皇によって創設された「済生会」の一病院として、現在は内科、外科、泌尿器科、リハビリテーション科、放射線科などの専門医療を提供する。特に糖尿病については他院に先駆け、1980年代初頭には診療を開始。地域住民の“かかりつけ医”をモットーに、地域包括ケアシステムの構築や地域共生社会の実現に貢献している。
導入サポート企業
アクモス株式会社では、豊富な業務実績を通じて培ったノウハウをもとに、お客様のニーズに対応した最適なITソリューションを提供致します。
「desknet's NEO」の設計・構築・データ移行・教育、「AppSuite」の設計・開発まで、幅広いサービスをワンストップでご提供し、グループウェアの最適な導入をサポート致します。グループウェアの導入・運用にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
<対応内容>
・サイジング、設計
・導入設計、構築支援
・バージョンアップ、データ移行
・教育サービス(利用者/管理者)
・AppSuiteアプリ設計、開発
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今までの紙ベースでの情報共有だと、例えばアンケートのように、回答がほしくても返ってこないことがありました。そもそもアンケート用紙を作成するための時間も必要でした。コミュニケーション方法がデジタルになったことで、やり取りの手間があまりかからなくなりましたし、気軽にいろいろな情報を発信できるようになりました。担当者としてはかなり助かっています。
誰もが必ず見るコミュニケーションプラットフォームができたことを、とても有意義に感じています。例えば、ドクターが診察室で電子カルテを開こうとすると、まずdesknet's NEOにログインしなくてはなりません。昔は情報系と業務系の端末が分かれていましたが、一つの端末に統一されて非常に楽になりました。また、desknet's NEOが病院のスタッフ全員の共通ツールになったことで、情報の伝達漏れも格段に減りました。