島根県大田市役所
様の導入事例
島根県大田市は、世界遺産「石見銀山遺跡」や自然豊かな国立公園「三瓶山」、三瓶温泉、温泉津温泉などの豊かな観光資源に恵まれた県央の中核都市。日本海に面した沿岸漁業の町としても知られ、島根県産水産物の多くが大田市に水揚げされています。
同市では、それまで個別に運用していた、予定管理や設備予約、電子掲示板などの各種システムを統合しようと、グループウェアdesknet's NEOを採用します。機能間連携の利便性や効率を活かし、導入直後に発生した大規模地震災害では、緊迫した状況下で被災状況の調査情報の収集と共有を実現。[AppSuite]の連携活用で既存データベースシステムを整理し、膨大なファイルの利活用にも挑んでいます。
導入後短期間にもかかわらず、利用定着・活用推進に成功した大田市の皆さまの取り組みとは?
desknet's NEOの活用手法について、石見銀山 大森の町並みにある「宗岡家住宅」にてお話をうかがいました。
個別に運用していた庁内の各種システムをグループウェアに統合したかった。
── グループウェアの導入経緯についてお聞かせください。
以前はグループウェアの利用はなく、電子掲示板、設備予約、スケジュールなどの各機能を個別のプログラムで運用していました。すべてオープンソースのソフトウェアを自前の仮想サーバー上に組み、導入や運用に関わるコストゼロで実用化していたのです。背景にあったのは自治体ならではのコスト抑制へのシビアな考え方で、メールのみ大手ソフトウェア企業のクライアントメールを導入し利用していました。
── 当時ユーザーが抱えていた悩みや改善したかった課題などはありましたか?
各機能間で連携できなかったので、利用するたびに個別のシステムを切り替える必要があり、運用がとても煩雑になっていました。
たとえばスケジュールと設備予約が連携していないために「打ち合わせ予定が決定してから、設備予約システムで会議室を押さえる」といった二重の手間がかかっていたのです。
スケジュールと設備予約の双方に入力するのも手間がかかりますが、スケジュール変更後に施設予約の変更を忘れると、空いた会議室が予約状態のままだったり、入力の手違いで利用者がバッティングすることもありました。
スケジュールも各課ごとの管理で、他部署のスケジュールが相互に閲覧できない状況でした。部課を横断するプロジェクトの際などは、その都度個別に電話やメールなどで調整し合うなど、非効率な点は否めませんでした。
── 運用面でもご苦労は多かったのではありませんか?
メールクライアントを端末ごとに入れていたので、運用負荷は相当なものでした。端末を入れ替える際にはメールの移行にも手間取っていましたし、OSの更新やバージョンアップなどで個別の不具合に対応するのもたいへんでした。
ITスキルの高い職員や出向先で利便性の高いシステムの利用経験がある職員からは「Webベースの製品やグループウェアなら便利なのに」という声も上がっていました。
── グループウェア導入のきっかけとなったのは?
長年利用していたメールクライアントのサポート終了がアナウンスされたことがきっかけとなりました。引き続き他のメールクライアントソフトを利用することも検討しましたが、運用保守に係る作業を低減させ、同時に利用者の利便性向上のため、「これを機にウェブメールへ移行しよう」と、いくつかの製品を比較検討する過程で、試算の結果、ほぼ同程度のコストでグループウェアが稼働できることが判明したのです。
どうせならば抜本的に庁内システムを見なおして、グループウェアに一本化し「業務改善しよう」ということになりました。
単一機能のメールとグループウェアでそれほど大きなコスト差はなく、機能間連携ができないという不便さも解消でき、運用上の負荷も軽減できます。
費用対効果を考えると、多少コストは増えても、新たにグループウェアを導入する意義は大きいと判断しました。
スムーズな機能間連携と職員の評価、AppSuiteにも着目し、desknet's NEO採用へ。
── グループウェアの新規導入でコスト増となることに庁内の理解は得られましたか?
グループウェアを導入するメリットや費用対効果を裏付けるものとして、庁内アンケートを実施し、既存システムで困っているところを列挙していただきました。それらの課題に対し、グループウェアでどれだけ業務が効率化できるか、たとえばスケジュールと設備予約など、今まで手間取っていた作業時間に対し、概算で年間何%の効率化を達成できるか試算し、充分な費用対効果と、職員一人あたりのコストに見合った運用が可能であることを確認しました。
職員の現場効率が上がる分、より市民へのサービスも充実できるということで庁内の合意を得ています。
── グループウェアの製品選定手法についてお聞かせください。
検討製品数はdesknet's NEOおよび競合品の計3製品で、各社のデモサイトで機能・運用面を精査したうえで仕様書を作成しプロポーザルを実施。コストや機能について、プレゼンテーションにより総合的な提案を受けました。
── グループウェアの製品選定時に特に留意したのはどのようなことでしたか?
特に重視したのは、ユーザー視点で「ITスキルの習熟度に関係なくすべての職員が利用できるもの」ですね。基本的にマウス操作とシンプルな入力で作業が完了できるような明快さです。GUIも視覚的に「ぱっ」と見て重要情報や結果が見えるシステムにしたかったのです。
運用面では、OSやブラウザのバージョンアップのたびに対応に苦慮していた過去の経験をふまえ、「OSやブラウザに依存の少ない製品であること」「定期的にバージョンアップされ、時代に合った最新機能がつねに備わり、サポートが継続されるもの」「すべての職員が親しみをもって利用できるもの」などに留意しました。
各製品ごとの、過去のメジャー&マイナーバージョンアップの頻度もチェックして、不具合の修正、機能追加などの経過や進化の度合いも確認し、製品の選定基準としました。
── desknet's NEO採用の決め手となったのはどのような点でしたか?
第一に挙げられるのが、当市の必要とする機能が全て標準で実装されている点でした。GUIもわかりやすく、幅広い層の職員も抵抗感なく利用開始できると評価しました。さらに、将来的なクラウド化を想定し、データ移行が簡単にできること、メンテナンスも容易であることなども決め手となりました。
desknet's NEOの正式採用に先駆け、導入に関するワーキンググループを年齢やITスキルの異なる多様な属性の職員で結成して1カ月試用し、メンバーから「この製品なら違和感なく使える」という評価も得られました。それまで個別の機能を使い分けていたときに較べ、業務情報の共有やスケジュールと設備予約の管理などで、目的の作業が速く確実に効率化できることを体感・評価してもらえたと思います。
また、他の競合製品にはないメリットとして、オプション機能AppSuiteの連携活用にも着目しました。
庁内には別途導入していたデータベース管理システムで作成した簡易システムや行政業務特有の表計算ファイル等が山積していました。それらを整理し、グループウェアと連携させることで整理・活用できると評価しました。専門知識がなくても、Webデータベースなどが作成できる所に将来性を認め同時に採用することにしました。
desknet's NEO採用の決め手となったのは
・職員のITスキルを問わないわかりやすいGUI
・定期の保守内で常に最新のブラウザやOSに適応
・導入推進ワーキンググループによって高く評価されたこと
・オプション機能AppSuiteの実用性に着目
── はじめてのグループウェアですが、導入研修などは行われましたか?
ネオジャパンの研修サービスを利用し、約半数の職員を対象に基本操作に関する研修会を実施しました。研修自体はプロポーザルの要件にも組み込んでおり、わかりやすくまとめられ当課としても満足しています。
研修後庁内アンケートを実施したところ、定期的に各種機能の活用法など、「また同様の研修をして欲しい」との要望も出て、ユーザーの感触も良かったと思います。
今後、不明点の解消や利用度を高めるために研修会を実施していきたいですね。
導入当初は旧システムとの並行運用期間を約2カ月間設け、職員が個別に保存したいデータの移行作業を実際に行うことで、操作方法に慣れてもらうようにしました。
データの移行を必要とした職員は全体の3分の1程度で、2018年3月1日desknet's NEOへ正式に完全移行しました。当日は「1日コールセンター」を開設する覚悟で準備していたのですが、電話も数件あったぐらいで、極めて平穏に正式稼働を迎えることができました。
正式運用開始後も、ほとんど問い合わせはなく、直感的な操作感が功を奏しているのではないかと考えています。マニュアルもウェブで確認できるため、ユーザーが直感的に操作し、実務で活用しながら慣れていく様子もよくわかりました。
── 導入後、最初にお感じになった情報共有の変化や手応えは何ですか?
全職員が実感したのは今まで個別に運用していた各種機能が連携することで得られた利便性です。たとえば、[スケジュール]+[設備予約]を連携活用するだけで、打ち合わせや会議の設定が速く確実になりましたから。
全職員のスケジュールも共有化でき、空いているところはメンバーのスケジュールも入れられるので、部課をまたいだ横断的なプロジェクトや行事、会議など、あらゆる予定調整も速く確実になりました。一般職員は閲覧のみですが、市長・副市長・教育長三役の予定も公開され、全職員が把握できます。
大田市役所の拠点は、本庁と支所、各行政区の「まちづくりセンター」28カ所、公民館7カ所、その他病院へ出向している職員や衛生処理場など計40カ所以上あり、全拠点間の情報共有が実現した意義は大きいですね。
── 各種機能活用や連携による効果についてはいかがでしょうか?
[スケジュール] [設備予約]の他にも複数の機能が加わり、情報共有のスピードアップだけではなく、情報種別に応じた各種機能の使い分けで情報が整理され、効率よく確実に伝達・共有できるようになりました。
特に[回覧・レポート]や[ネオツイ]のダイレクトメッセージやつぶやきの機能が加わったことで、庁内情報共有、伝達・集約にある種のスタイルが定着することになりました。
たとえば、従来はメールだけに集中しがちだったやり取りも、国や県、取引先の事業者など、外部とのやり取りには従来通り[ウェブメール]を活用し、庁内の情報交換は[回覧・レポート]や[ネオツイ ダイレクトメッセージ]を活用するといった手法です。
同じ課内やプロジェクトでチーム全体の情報確認や資料を共有するなら[回覧・レポート]。職員同士が個別に業務中、気軽に意見交換したり資料共有するなら[ネオツイ ダイレクトメッセージ]を活用するといった習慣がいつの間にか定着しています。
庁外への情報漏洩を防ぐという観点や、添付ファイル等によるメールサーバーの負荷を抑制するうえでもたいへん有効な手法です。
── ユーザーの反響が特に高かった機能などはありましたか?
多くの機能は、すでに利用していた既存の各種機能からの「移行」という概念で、利便性の高まりを実感できましたが、今までになかった新たな単体機能としての[ネオツイ ダイレクトメッセージ] [ネオツイ つぶやき]のインパクトは大きかったようです。
あいさつなどの定型文不要でスピーディに必要な情報を確認し合い、資料共有もでき、庁内限定で安心して利用できるので、利用度は予想以上に高まりました。
── 災害対応にも[ネオツイ]をご活用いただいたそうですね。
desknet's NEO全庁リリースから約1カ月後の2018年4月9日島根県西部地震に見舞われました。震度5強の震災直後に庁内でも、情報がすぐに「出てこない」「共有できない」という課題が出て、そこで急きょ災害対策本部で「[ネオツイ つぶやき]でいこう」と、とっさの判断が出たのです。導入直後のこともあり、緊急時に即時対応できたのは良かったと思います。
当時、災害対策本部会議が1日3〜5回開かれ、その際の資料を全職員が[ネオツイ つぶやき]で共有しました。
震災直後各地に被害調査のため派遣された職員の報告をまとめ、「被害状況の調査済み件数」「市民から寄せられた調査依頼への対応状況」「被害が解消されていない地区や場所の最新情報」などが全庁共有され、市長に報告する資料も全職員で確認共有できました。
家屋・土地の被災地調査の際には、各地区への調査派遣の人員調整に[回覧・レポート]も活用されました。
導入直後とはいえ、災害直後の緊迫した状況下で情報共有の手段を確保できたのは、良い経験になりました。情報伝達スピードも速く、現状把握や被災状況の中で知っておかなくてはいけない情報を正確に共有できました。
今回の教訓を活かし、今後は[電子会議室]内に災害対応の会議室を開設しておくなど、災害対策への事前準備にもとりかかりたいと思います。
── [AppSuite]のご活用状況はいかがでしょうか?
従来より一覧表や管理表などを表計算ファイルにフィルタをかけて活用するのが定例化しており、中にはマクロを組んだ表もあったのですが、作成時のOSバージョンに依存していて、「いざ開いたら処理ができない」「ファイルが壊れていた」ということはよく起こっていました。全てを新たにデータベースソフトに移行するには、労力、コストの課題が立ち塞がってしまいます。
表計算で管理している利用度や汎用度の高いファイルを[AppSuite]で一元管理すれば、活用度も広がり、職員が部課の用途に合わせてウェブデータベースを作成できるため、応用度は高いと考えています。現在私たちの課でテスト運用を始め、3システムが稼働、1システムが稼働準備中です。
今後は既存のデータベース管理システムで作成された表計算ファイル等の内容の解析や出力帳票の調査を行い、実現性の高いものから移行していく方針です。
── 先行稼働しているシステムはどのような種類のものですか?
desknet's NEOを含む庁内システムの「ユーザー管理表」、「産業廃棄物の許可事業者の管理表」、「犬の登録と狂犬病予防注射の実施表」などが稼働中で、システムに関わるベンダーなどの外部事業者さんの入退室状況を管理・記録する「入退室管理表」が現在稼働準備中です。
いずれも入力フォームの作成から着手、実用化しており、既存の旧データベース管理システムを扱える程度のスキルをもった職員であれば、誰でも応用・作成できる環境を整え、原課のユーザも業務に応じて任意のシステムを作成できるようにしていきたいと思います。
[AppSuite]はdesknet's NEOのバージョンアップと共に進化していくでしょうから、desknet's NEOを運用し続ける限り、作成した各種システムやファイルを土台から失うリスクはない。そこがねらいなのです。
── 導入から1年にも満たない短期間にもかかわらず、めざましいご活用ぶりですね。
特に地震の際の対応などは、緊迫感の中、必要に迫られて実行したことですが、ユーザーの自発的な発案から特定の機能が活かされ、正確な情報共有と把握につながった意義は大きいですね。
庁内では広報のプロジェクトをはじめ、様々な規模のプロジェクトが動いているのですが、新規チームの起ち上げ時などに、[電子会議室]を会議の事前準備や資料共有、意見の集約などへの積極活用を奨励しています。会議の効率化や時間短縮などにも役立てて欲しいし、各種機能を原課のユーザーが必要に応じて活用・発展していくことが望ましいと思います。
── desknet's NEOの情報共有は、庁内の働き方や業務の改革にも役立てられそうでしょうか?
旧システムに比べ、各機能が統合され。情報共有のスピード・質・タイミング・印象が大きく進化しました。紙で遅延や滞留が起こっていた回覧がなくなったり、内線電話が[ネオツイ] の「ダイレクトメッセージ」に置き換わり、最近では「つぶやき」の投稿数も導入時から格段に増え、簡単に全職員に向け情報発信できる環境が整ったと感じています。
desknet's NEOは職員間のコミュニケーションの新たな方法として着実に定着しつつあり、庁内の働き方や業務の改善にも役立ってくれると思います。
ご活用中の機能と使い方
お話をうかがったご担当者様
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政策企画部情報企画課 稗田 督晃 様
desknet's NEOの導入によって、それまで個別に利用していた庁内の全システムがひとつになり、職員の事務の入り口がdesknet's NEO上のポータルとして集約されました。現場のニーズや職員の発案で各種機能が実用化できるのも良いところで、導入直後の島根県西部地震など、急を要する災害時の情報把握と共有に役立てられたのはその好例ですね。今後も[AppSuite]の連携なども活かしながら、主業務の効率化をさらに進め、職員の働き方や市民サービスをより良くするために活かしていきたいと思います。
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政策企画部情報企画課 中祖 優基 様
desknet’s NEOの各種機能間の情報連携、たとえば[ダイレクトメッセージ]を用いた個人間の情報の共有ひとつをとっても庁内業務の効率化に役立っています。オープンソース利用時より、確かに若干コストはかかっていますが、職員の時間の活かし方や働き方が大幅に向上し、管理運用面での負荷も軽減され、充分な費用対効果を得られていると思っています。ユーザーのアイデアで新たな機能活用が広がり定着していく可能性にも期待しています。
desknet's利用環境
- 製品名
- desknet's NEO
- ユーザー数
- 750ユーザー
- 導入時期
- 2018年
事業概要
- 自治体名
- 島根県大田市役所
- 所在地
- 島根県大田市
- 市制施行
- 2005年10月
- 職員数
- 483名
- 自治体紹介
- 人口3万4,989名(2018年12月)。島根県中央に位置し、2007年「石見銀山遺跡とその文化的景観」が世界遺産登録。国立公園「三瓶山」、鳴砂で有名な天然記念物「琴ヶ浜」、「三瓶温泉」や「温泉津温泉」、伝統芸能「石見神楽」など、歴史、文化、自然に彩られた観光資源に恵まれている。沿岸漁業が盛んで、全国的にも珍しい「一日漁」が行われており、県内約95%の小型底引き網漁船が和江・久手漁港に在籍。日本海近海の海の幸が年間約4千トン水揚げされている。
デスクネッツの導入をサポートしたのはこの会社です。
株式会社日本ワイドコミュニケーションズ
日本ワイドコミュニケーションズは、ウェブサイトの企画・設計・提案、構築・制作・保守/システム開発、保守/試験部品の評価試験の実施・分析など、幅広い対応力を生かし、お客様に最適なソリューションをご提供いたします。
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