長年、ビジネス誌の記者として大企業から中小企業まで取材してきた私は、中堅企業が日本経済の足腰を支えていると実感しています。モノづくりで高い技術力を持っていたり、質の高いサービスを提供したりする中堅企業の活躍が日本経済を支えていると言っても過言ではないと思います。
それらの企業がさらに成長するには、2つの条件があると考えています。1つ目は商品やサービスなどの「値付け」のイニシアティブを取ること。2つ目は人材の確保、成長です。
日本では大企業などの発注側が値付けをするのが一般的です。相見積もりを取って安い方に発注するのは当たり前ですし、景気が悪くなれば単価を下げることもあります。こうした状況では収益を安定させるのは容易ではありませんが、この問題は、その企業ならではの製品やサービスを提供することで解決できるはずです。価格競争に巻き込まれなくなるからです。

独自の製品やサービスを開発したり、既存の製品やサービスに工夫を凝らしたりするようなクリエイティブな仕事には、アイデアを生む時間が欠かせません。そのためには、業務の効率化が求められます。会議室の予約などに時間を割かれていては、会社全体の効率が悪化し、仕事の質が下がりかねません。私自身、記者、編集長時代に、ビジネスツールを導入して非生産的な作業の削減に努め、「稼ぐための仕事をする時間」を強く意識していました。一人ひとりの役割が大きい中堅企業では、効率化がもたらす効果は大きいはずです。
また、本業に専念できる環境は社員のモチベーションを上げ、結果的に人材の確保、成長にもつながります。
前述の会社を含めて、力のある中堅企業は今後ますます増えていくと思います。彼らが日本経済にとどまらず、世界で勝負する企業になることを期待しています。